自分で行う政策金融公庫の融資の流れ

 政策金融公庫(以下、公庫)は「民業を圧迫しないように、民間が貸し出ししにくいところに貸す」という大義があり、特徴は「制度融資」で条件にあてはまれば貸すというものです。1000万円までの少額融資を得意とし、無担保無保証人の制度があったり、融資手数料や繰り上げ返済手数料も無料だったり身近で便利に使える金融機関です。

融資と聞くだけで個人での対応は難しく、専門知識がないとうまく融資してもらえないかも・・・、と感じる方も多いかもしれません。

実は自分の言葉でしっかり伝えることが重要で、事前に準備する資料も難しくありません。

この記事では自分で公庫から融資を得るまでの流れと、注意点についてご紹介します。

政策金融公庫にて融資までの8ステップ

先ずは公庫から融資を得るまでの流れとして、最初のステップである担当支店を確認するところから順番に8ステップ説明していきます。

担当支店を確認する

公庫HPで管轄一覧を確認します。住所地=事業所である場合は自動的にそこを管轄する公庫支店になります。住所地と事業所が違う場合はどちらを管轄する支店で申し込むかを選びます。どちらにも足を運んでフィーリングが合いそうな支店にしましょう。ただし、選べるのは支店だけでこの時に相談した担当者がそのまま担当者になるわけではありません。

例)兵庫県西宮市に住んでいる個人が福岡市の投資不動産を買う資金を借りたい場合、公庫の神戸東支店と福岡市博多区の公庫に相談します。

借入申込書を担当支店に持ち込む

借入申込書は店頭でもらうか公庫ホームページでダウンロードできます。申込書は持ち込みか郵送にて受け付けていますが、Eメールでの受付は行っていません。定型の申込書だけ作成するのではなく自分の伝えたいことを資料にまとめて申請しましょう。

例)インバウンド向けの宿泊業の費用を借りたい場合、インバウンドの将来性・その地域の需要・今回の物件や事業の特徴など。事業を始めるにあたって当然、採算が取れるかは調査・検討しているはずです。自分の経歴や意気込みも絡めてその資料をまとめ直します。

公庫から面談日の連絡がくる

公庫の担当者から電話で面談日の打診があります。面談日の連絡が来るのは借入申込書到着後1週間~2週間くらいが目安です。公庫の担当者の決まり方は案件毎です。顧客ごとに決まっているわけではなく借入申込書の山から順番に対応していくため、基本的に担当者を選ぶことができません。

公庫へ面談に向かう

面談が最も重要で、30分~1時間程度、申込書や資料を見ながら人物や事業計画を確認されます。提出した資料を理解してくれているとは限りませんのでそのつもりで。スーツで行く必要はありませんが清潔感と熱意をもって臨みましょう。

ポイントはいかに制度融資にあてはまるように考えるか、そのほか金利・担保・期間・金額・保証人などを交渉していきます。一緒に考えてくれるタイプの担当者にあたるとラッキーですが、そうでない場合がほとんどです。

イライラせず穏やかに「こうしたらどうでしょう?」などと誘導していきましょう。面談後1週間程度で融資の可否の連絡があります。

担保について

担保の評価は非常に低いです。不動産担保の場合は妥当な購入価格x70%の評価額。不動産を貸し出している場合はさらにその50%の評価額になります、つまり購入価格の35%程度が評価額になってしまいます。

また、スムーズに融資を実行するために先に抵当権などの設定をしておくケースが多いです。不動産購入資金を借りたいという場合でも既に所有している物件を担保にし、今回の物件は担保にしないような感じです。

金利と期間の決まり方

景気や金利情勢によって公庫の融資は金利や借入期間がそのときどきで設定されています。ですので、「自分だけ特別に金利を安くしてほしい!」や「ぼったくられた!!」はありません。担保設定が必要な場合はたくさん担保を入れるほど金利は低くなります。

担保や金利などの条件面は面談時に即決することは少なく、方向性を交渉し公庫内で検討の後に改めて連絡というケースが多いと思います。公庫が提示する担保や金利などの条件に合意すると融資承認、契約の段取りに移ります。

融資契約に公庫に出向く

担保や金利条件をクリアしたら、今度は最終段階の金銭消費貸借契約を取り交わします。ちなみに担保が必要な場合は担保設定の準備も契約時に行います。公庫は登録免許税が免除され司法書士への手数料だけで担保設定ができるのでオトクです。

司法書士手数料は司法書士毎に個別に設定しているので相見積もりなどしましょう。

融資実行

金銭消費貸借契約が完了したら数日で融資実行されます。あとは指定日・指定口座に融資金から送金手数料216円だけ差引されて入金されるのを待つだけです。

振り込み時間の指定はできないので資金が必要な日の前日以前を実行日にしましょう。借入申込から実行まで1か月が目安です、余裕をもって日程を決めましょう。

ブローカーやあっせん業者に注意

公庫の申込に際し、「融資可決率100%」とか「融資額を伸ばす」と謳っているあっせん業者や税理士等のブローカーがいますが、審査するのは公庫ですので関係ありません。

ブローカーは申込人が用意した資料をまとめて作文する程度です。学習塾みたいなもので“成功すればブローカーのおかげ、失敗すれば申込人のせい“です。

自分で行う方がメリットは大きいと思います。まず費用の面ですが、ブローカーは成功報酬で3%などと請求します。例えば3000万円融資可決すると90万円の支払いです。次に自分の今後の問題です。

事業を続けていくために自分の状況を客観的に理解し自分の言葉で金融機関に伝えていくことは経営者としての必須スキルです。

最初は面倒でも自信がなくてもぜひ、自分でチャレンジしてみましょう。

著者情報

人物
氏名 竹下昌成(株式会社メディエス 代表取締役)
職種 ファイナンシャルプランナー
専門分野 住宅ローン
不動産投資
ライフプラン
保有資格 日本FP協会会員(CFP)、宅地建物取引士、
貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー、スカラシップ(奨学金)アドバイザー