将来の経済的生活不安を軽減する方法 「老後2000万円不足」問題対策

最近、「老後2000万円不足」問題で騒がしくなっています。

「老後には2000万円貯蓄がないと暮らしていけないらしい。とてもそんな額は貯蓄できない。または、貯蓄がない」という不安が一番の原因だと思います。

そして、この騒動をきっかけに将来に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

そもそも、不安を撒き散らしている原因は、「老後2000万円不足」というフレーズが一人歩きしていることにあると感じます。
この2000万円というのはあくまで平均値です。各自によって事情は違うのに、“その平均値で不安を感じるのはおかしい”という論調はマスコミでもたびたび語られています。

しかし、集団行動が美徳とされる国民性のため、日本人は平均が大好きなのです。
格差社会と言われる現代では平均値は社会的な問題を改善するのには役立つかもしれませんが、個人の問題は解決できません。

ここに、今回の不安を撒き散らしている原因があります。それでは、平均値が美徳とされる現代社会において今回の不安を取り除くにはどうすれば良いのでしょうか?

それは、キャシュフロー表を作ることです。

キャシュフロー表で漠然とした平均値の不安を実態のある自分の不安に置き換えることができます。

インターネットで「キャッシュフォロー表」と検索すれば無料ソフトがたくさん出てきます。その中で自分に合ったものを選んでください。

家族の年齢、それぞれのイベント(大学入学等)、収入項目、支出項目等をこの先30年後や40年後までの毎年分入力すると毎年の年間収支や貯蓄残高が出て、毎年の収支の変化が見えます。

将来の教育費等の具体的な数字が分からない場合はこの時は統計の平均値等を暫定的に入力します。そんな作業をすると将来数十年にわたる家計の収支を「見える化」することができます。

毎年見直しをしてより具体的な数字を入力していけば将来像がより鮮明になってきます。

ポイントはいつの時点で資産がマイナスになるか、を確認することです。

自分がまたは家族が何歳までのキャシュフロー表を作成するかですが、通常は平均余命を足した年齢です。しかし、人生100年時代ということで100歳までのものを作成してみるのもいいでしょう。

資産が一時的にマイナスになる。または、途中で尽きてしまうとなれば対策が必要ということになります。

その対策は収入を増やすか、支出を減らすかしかありません。

支出を減らす対策(固定費の削減)

固定費を見直し削減することはその後長期にわたって効果があり、見直すときは面倒でもその後はストレスがないことが多いので是非やってみる価値があります。

【固定費の見直しすべき主な項目】
・保険の見直し
・格安携帯への切り替え
・住宅ローンの借り換え
・マイカーを所有からシェアへ切り替え
・その他の固定費の見直し

固定費の中でも特に重要な「保険の見直し」と「住宅ローンの借り換え」についてご紹介します。

保険の見直し

積立が主な目的の一つである終身保険や年金保険は加入年度の予定利率で判断します。
2017年から0.25%という低金利が続いています。1990年の5.5%~5.75%から下がり続け、1995年は3.75%までになっていますが、この年までに加入した貯蓄性の高い保険は解約して加入し直すのは一時的なお金がほしいとしてもやめた方がいいでしょう。

国内社のパッケージ保険なら無駄な補償が含まれていないか、を確認しましょう。
更新型ではないか、を確認しましょう。
補償金額と補償期間が今のニーズに合っているかを確認しましょう。

住宅ローンの借り換え

金利差1%以上、残高1,000万円以上、残り返済期間10年以上のどれか1つ以上の条件が当てはまれば借り換えた方が得になる可能性があります。

収入を増やす対策

【収入を増やす対策項目】
・資産運用
・副業
・再雇用や転職して労働期間を伸ばす
・奥さんのバイトやパート
・自宅の一部の賃貸
・駐車場の一部の賃貸

収入を増やす方法としておすすめなのは資産運用です。

資産運用

金融庁のホームページに「平成28事務年度金融レポート」が掲載されています。
「金融行政方針」の進捗状況や実績等の評価をまとめたものです。

内容の一部が資産運用の教科書になっています。
一部と言いましたが、全142ページの中の「Ⅱの1.顧客本位の業務運営の確立と・定着等を通じた家計の安定的な資産形成」部分27ページです。

ほとんどの日本国民が資産運用をしなかった結果、この20年間で米、英と家計金融資産の伸び
に差ができてしまった、というデータから始まっています。

家計金融資産はこの20年で資産運用による伸びが米国では2.45倍、日本では僅か1.19倍であり、その結果家計金融資産が米国では3.32倍、日本ではたったの1.52倍にしかなっていないのです。

この要因の詳しい分析について金融レポートに記載されています。この衝撃的な事実によって資産運用をするべき理由を痛感します。
次に資産運用の基本は長期、積立、分散であり、それに適した金融商品について述べられており、そんな商品が日本の場合には少なく、金融機関の問題点が指摘されています。

こんな日本の現状を打破するために2018年1月から「つみたてNISA」の制度をスタートさせるという経緯が書かれています。

以上の様な流れをゆっくりと理解しながら読んでいくと資産運用未経験者の方でも資産運用の具体的なやり方を学ぶことができます。また、資産運用の必要性や日本の金融機関の問題点等も知ることができ、自分で納得した上での資産運用が始められます。
金融レポートは今まで資産運用が怖い、面倒くさいと言っていた方も抵抗なく資産運用が始められる良質な教科書です。

「将来の生活不安を解消する」などと言った、おこがましいことは言えませんが、以上の様なことを実行することで自分や家族の将来の経済的生活不安を軽減することは可能です。とりあえずキャシュフロー表を作成することから始めて下さい。

皆様の実態のない漠然とした不安が少しでも和らぐことを願っています。

著者情報

ライフプランに関する相談・提案

人物
氏名 田中嘉理(FP事務所 ビジネス&ライフサポート代表)
職種 ファイナンシャルプランナー
専門分野 保険に関する相談・提案
住宅購入や不動産活用に関する相談・提案
ライフプランに関する相談・提案
保有資格 ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級FP技能士、宅地建物取引士、証券外務員一種