FXなどの自動売買ツールで稼ぐことは難しい3つの理由

「ほったらかしで月利平均20%以上!」

「勝率90%で年収5000万円!」

「誰でも毎週必ず20万円が稼げてしまう!」

こうしたキャッチコピーを見かけたことはあるでしょうか?魅力的なフレーズですが、こうした謳い文句で提供されるものには十分な注意が必要です。

一攫千金を夢見て詳細を確認してみると、大半の場合、「ツールを導入する必要がある」となり、FXや仮想通貨の自動売買ツールの利用料を高額で支払うことになるのです。

そしてツールに従って行動してみるものの、収益を得るどころか損失が膨らむばかりとなって、「騙された!」となるケースが多発しています。

自動売買ツール自体は、良質なものでも無料から、高くても数万円程度で入手できますが、ひどい場合、無料公開されている使えないツールを、無知な人に対して

さらに、こうした自動売買ツールはひたすら損失が膨らみ続けるわけではなく、(損失を上回ることのない)若干の利益が出る場面も僅かながらにあるため、詐欺で訴えることも難しい場合が多く、極めて厄介な問題となっているそうです。

実際に自動売買ツールを活用して利益を生み出せる人は、自分でプログラムを作るか、使いどころがしっかり見極められるようになるまで、徹底的に複数のツールを研究しています。

少なくとも、「ほったらかしでお金が増える」とか「勝手に資産が倍増」などといった、楽をして儲けていることは間違いなくありません。

確かに、自動売買ツールを稼働させている間は放置状態ですが、同時並行で新しいツールの開発や調査、検証・研究などをひたすら実行しているからです。

つまり、自動売買ツールで勝ち続けるのはプロでも相当難しいことなのです。

こうしたFXや仮想通貨で稼ごうと考え、原資を確保するために、借金をしようとする方がいるそうですが、相場に無知の状態で取引に参加することは自殺行為です。絶対に止めてください。

しかし、広告セールスに優秀な販売業者から「自動売買ツールを使えば元は取れる!」と思わされ、甘い誘惑の言葉で感情が揺さぶられている状態だと、正常な判断を下すのは難しいかもしれません。

そこで本日は、そんな状況下でも冷静に判断して、大切なお金を失うことがないよう、「自動売買ツールで稼ぐことがいかに難しいか」について、3つの観点からご紹介しておきたいと思います。

利益が増える証拠データはいくらでも作れる

「放置状態でお金を稼いでくれるシステム」と紹介されているとき、多くの場合、そのシステムが過去に稼いだ証明として、資金推移グラフを載せています。

しかし、この資金が増えるグラフは、自動売買ツールをそれなりに使っている人であれば、誰でも作ることが可能なのです。

たとえば、過去10年間の価格を使って資金推移グラフを作る際、大きく利益が増えている特定の数か月間の部分だけを切り出せば、いかにも大勝ちできそうなグラフが出来上がります。

また、トレードの世界では常識となる損切り(一定以上損失が膨らんだら、一旦損失を確定して自分の資金を守る行動)を入れない、または資金と同額レベルの損切りのシステム(損失確定時に一発退場になるもの)だと、勝率が100%に限りなく近いシステムになります。

ナンピン、マーチンゲールといった資金管理手法を使うことで、素人が見たら「すごい稼げそう!」と反射的に思ってしまうような資金推移グラフを描くことも可能です。

しかし、2008年に発生したリーマン・ショックのような大暴落が発生すると、それまでの間ずっと膨らんできた利益が一発で吹っ飛んでしまいます。状況によっては追証(証券会社に対して追加でお金を入れなければならないこと)となって、借金状態になってしまう危険性もあるのです。

実際にリーマン・ショックのとき、このような状況になった自動売買ツール利用者は多くいたそうです(※私はリーマン・ショック後の2009年からFXを始めたため、当時トレードしていた方々から教えていただいた話です)。

このように、「過去にいくら稼げたか?」という資金推移グラフは、自動売買プログラムに関する基礎的な知識さえあれば、やり方次第でどうとでも描けてしまうので、参考程度に留めてください。

自分で売買操作できない状況になるリスク

過去に私は一度、FXシグナル配信サービスを利用したことがありました。

自動売買ツールとは違い、売買するといいタイミングがプロトレーダー(自称かもしれませんが)からメールで通知され、受信した本人が実際に取引するかを判断できるサービスです。

このサービスは会費として月額数万円を必要とするものでしたが、「シグナルに従って取引していれば、毎月利益が出てペイできるから」という言葉に流されていました。

配信サービスを受け始めて、利益と損失がトントンという状態が続いていたのですが、事は2か月目に発生しました。

ある通貨ペア(銘柄)を買うようにシグナルを受けていたのですが、それを売るタイミングのシグナル配信が届かなかったのです。

多くのサービス利用者はそのまま売らずに待っていたと思われますが、価格はどんどん下がっていく一方。

しばらくしてから次のような主旨のメールが届きました。

「メール配信システムのトラブルで、売り抜けるシグナルをお届けするのが遅くなってしまいました。プロトレーダーは〇〇円(早い段階)で売り抜けておりました。」

当然ながらクレームは殺到したようですが、結局、会費の免除や減額等のフォローもなく、今後の改善策だけ提示されて、何事もないまま終わってしまいました。

幸いにも私はその時の買いシグナルに違和感があって買わずにいたため、被害は避けられました。

しかし、もし自動売買ツールだったとしたら、「自動売買ツールが動いているサーバでトラブルが発生して、売り抜けできない」という、自分ではどうすることもできず、ただ損失が膨らむのを見ているだけしかできない状態になっていたと考えられるのです。

もしそのような状況になってしまったとしたら、もう自分では何もできないので、どうすることもできません。

さらにこの話には続きがあり、それは翌月の3か月目。

今度はシグナルがまったく配信されてこなくなりました。

「またサーバのトラブルか?」と思ったのですが、今度は以下の主旨のメールが届きました。

「エントリータイミングが発生しない状況が続き、大変恐縮です」

売買するチャンスがないので、ずっと様子見状態となっていたのです。

しかし、その間も会費として数万円は支払うことになります。

つまり、売買をしなければ、当然利益は生まれないので、単純に「様子見」という情報に対して数万円を払うことになったのです。

トレードの手法によっては長期的に(1ヵ月以上のスパンで)見るものもあるので、売買シグナルや自動売買ツールで実際の取引が1ヵ月以上ないことがあっても不思議ではありません。

ただ何もしていない状態なのに、会費やツール利用料などは払い続ける、リスク回避のしようがない状況になっても、あなたは耐えることができるでしょうか…?

損失が続いたときに耐え続けることができますか?

「自動売買ツールはまったく勝てないのか?」というと、必ずしもそうではありません。勝てるシステムも実際には多く存在します。

しかしそういったシステムはすべて例外なく、勝率100%ではありません。

見方を変えれば、勝てるシステムであっても、損失が膨らむ時期が多かれ少なかれ存在するのです。

仮に、あなたの知人が作った自動売買ツールで、過去の成績も申し分なく、直近も順調に利益が出続けていて、意図的に資金推移グラフを作ったものではないものだったとします。

また、そのツールは自動売買のオンオフを自分で決めることができるもので、「おかしい」と思ったときには自分が手を出せる環境で使うことができるとします。

つまり、先に挙げた2つのリスクを回避できる状況の中で、このツールを実際に使い始めたとき、たまたま時期的に損失が膨らむタイミングだったとします。

このとき、あなたはどのように行動するでしょうか?

おそらくほとんどの方は、自動売買を止めようとするのではないでしょうか?

しかし、自動売買ツールは一時的に資金が減る機会も含めて、トータルでプラスの収益となるように考えて作られています。

「資金が減ってきたので自動売買を止めてしまう」ことは、言い換えれば「利益を生み出す売買チャンスを見逃している」ことにもなるのです。

当然ですが、買わないと売ることができず、売ることができないと利益確定することはできません。自動売買を止めることで、買わないようにはできますが、利益確定もできなくなってしまうのです。

利益を出すために自動売買を再開する必要が出てきますが、「どのタイミングで再開するか?」見極めるトレード能力がないと、利益を生み出すチャンスをスルーすることになり、稼ぐことは不可能となります。

自動売買ツールを使おうと考える多くの人は、トレード知識や経験も浅く、「楽をして儲けたい」と思っている人が多いため、ハイレベルなトレード能力を持っていることは極めて稀でしょう。

つまり、こうした一時的な資金減となっていく状況のときに、「このシステムは絶対に大丈夫!」と確信を持って、売買停止せずにいられる精神力が必要になるのです。

「自動売買ツールと心中しても構わない」と思えるほどの精神力を持つ人はまずおらず、いるとしたら自動売買ツールを実際に開発した人だけです。

もし、どうしても自動売買のシステムで儲けたいと思うのであれば、自分でシステムを作るか、全額失っても他人の責にせず、すべて自分の責だと受け入れられるシステムを使うしかないのです。

著者情報

人物
氏名 角田和将
職種 プログラマー、ビジネス書作家
専門分野 自動売買プログラムの開発
システム構築に関するコンサルティング
ビジネススキルに関する出版・講演
その他 著書に『出口から考えるFX』(パンローリング)をはじめ、
『「節約ゼロ」で毎月3万円貯まる! 貯金ドリル』(総合法令出版)などがあり、
著書累計は10冊27万部(2019年6月時点)を超えている。