誰でもできる積み立て投資

金融庁の金融審議会報告書で「老後資金が2000万円不足する」という試算が発表され話題となっています。正確には、家計調査などに基づく平均的な家庭で夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯で、30年後総額2,000万円の不足額が発生するとされています。もちろん個々の家庭で事情は異なりますし、突然の支出や、余命がどれくらいになるかなど確定できない事情も多いです。つまり不測の事態に備えるためにはさらに余裕を持った老後の資金作りが必要だということです。
昔から民間ベースではこういった試算がされており、年金だけでは現役時代の生活水準を維持できない、ではどう対策をすべきかという議論がされてきたわけですが、今回金融庁の報告書で将来の資金不足が提言されたことは大きなインパクトだったといえるでしょう。

将来の資金不足への対策

将来の資金不足は自助努力で賄わなければなりません。どういった対策をすればいいのでしょうか。現役世代のうちから貯蓄をしていくことが重要なわけですが、この低金利が続く我が国の状況では、毎月の給料から貯蓄していくだけではなかなか資産形成をするのは難しいくなっています。そこで積み立て投資を行い、月々一定額を投資に回して運用することで利回りを上げ、セカンドライフが始まった段階で運用した資産を取り崩していくという方法をとることが有効でしょう。

積み立て投資の有効性

将来の資産形成には毎月一定額を積み立てる投資方法が効果的です。その理由は、①ドルコスト平均法により高値掴みを避けることができる、②複利効果により、効率よく運用することができることなどがあげられます。①のドルコスト平均法とは一定期間ごとに(例えば毎月)決まった額を投資することにより、価格が高いときにはあまり多くの数量を買わずに、価格が安いときに多く買うことになるという、誰でも簡単にできる投資方法です。②の複利効果とは、受け取った分配金や金利などをさらに投資に回すことで、「利益が利益を生む」ような効果のことを言います。これは時間が経過すればするほど複利運用を行わない場合と比べて差が出てきます。この2つの効果を狙うことができるのが積み立て投資なのです。

積み立て投資の商品選び

積み立て投資の投資対象は株や外貨、投資信託で行うことができます。まだ投資をしたことがないという方は、複数の商品、銘柄に分散して投資によってリスク分散を行うことができる投資信託による運用がおすすめです。投資信託とは幅広い投資家から資金を集め、それを投資のプロであるファンドマネージャーが運用する商品です。たくさんの資金を集めることができるので、投資先を分散させることができます。
また、一定の条件を満たした投資信託は「つみたてNISA」という税制優遇制度を活用することができます。これは投資信託を購入した年から20年間分配金と譲渡益について非課税となる制度です。通常投資信託によって得た利益は、20.315%が課税されますが、つみたてNISAの口座で購入した投資信託の利益は非課税となりますのでかなりお得です。

投資信託の種類と性質

投資信託は銀行や証券会社で購入することができます。ネット銀行、ネット証券でも買うことができますので、金融機関の営業員の言うことを聞かずに購入することも可能です。一部では、運用会社から直接買うことができるものもあります。

投資信託の投資先

投資信託の商品性により、株だけに投資するものや、債券だけに投資するものもあれば、商品クラスをまたいで様々な商品に分散投資するバランス型と呼ばれるものもあります。初心者の方はなるべく投資先が多くリスク分散されている商品を選ぶとよいでしょう。

投資信託のコスト

投資信託を選ぶ際はコストに気を付けなければなりません。株であれば売買するときに手数料が発生します。外貨預金などでも円から外貨にするとき、外貨から円にすると金為替スプレッド(為替手数料)が発生します。投資信託では、3つのコストが発生します。1つは、購入時にかかる「購入時手数料」で、こちらは、販売会社の収益となるものです。2つ目は投資信託を保有する間ずっと発生する「信託報酬」です。これは、運用会社の収益となるもので、運用手数料のようなものです。3つ目は、解約時に発生する「信託財産留保額」です。解約時に純資産の減少の影響を少なくするためのもので、信託財産留保額が引かれる投資信託はあまり多くありません。これらの各手数料は商品によってバラバラで、購入時手数料であればノーロードといわれる手数料ゼロの者から3%程度のものまであります。また信託報酬も0.1%台のものから2%を超えるものまで幅広い商品が存在しています。できれば、コストが高くてもそれを上回るパフォーマンスを出せる商品であればよいのですが、そういった商品を選ぶのはなかなか難しいですので、商品選びに迷ってしまう方は、コストの低い商品を選ぶようにしましょう。

アクティブファンドとインデックスファンド

投資信託にはアクティブファンドとインデックスファンドというものに分かれます。インデックスファンドは「日経平均株価」や「NYダウ」などの指標に連動するように作られた商品で、ファンドマネージャーの労力が少なくて済むため、低コストになっています。アクティブファンドとは、商品の性格に合わせて独自の運用を行う商品で、ファンドマネージャーが投資信託に組み入れる銘柄を選択しなければならないなど労力が必要ですので比較的高コストとなっています。

まとめ

はじめて投資をする方には、なるべくリスクを分散させて確実に資産を増やしていくことが重要です。そのために分散投資ができる投資信託を使い、効率の良い積み立て投資をすることが効果的です。長期の運用になるとコストも大きな影響を及ぼしますのでなるべく低コストのインデックスファンドがおすすめです。不確実な将来に向けて、運用によって早めに対策をしていきましょう。

著者情報

人物
氏名 志塚洋介(志塚行政書士FP事務所 代表)
職種 行政書士・ファイナンシャルプランナー
専門分野 資産運用の相談・セミナー、
相続、遺言、
事業承継の代行・相談・セミナー
保有資格 行政書士、1FP技能士、CFP、宅地建物取引士、
管理業務主任者、マンション管理士、証券アナリスト検定会員補