離婚の際の年金分割 夫の年金の半分もらえる!?

夫婦の3組に1組は離婚しているような現代において、誰もが最初に思い描いた幸せな結婚生活をずっと維持できるわけではありません。FPである私の事務所にご相談に来られるご夫婦の多くは、経済リスクというと万一の死亡や病気の心配をされる方がほとんどですが、実際の経済的リスクは離婚を原因とする場合が圧倒的に多いのです。もし夫婦が離婚という結論に達した場合、慰謝料や養育費についてはもちろんですが、それ以外にも二人の財産の分け方が問題となります。

財産分与の対象になるのは、婚姻中に二人で築いた資産で(独身時代の財産は対象外)、その内容として結婚後に貯めた預貯金をはじめ株式や投資信託、仮想通貨、自動車、不動産なども対象です。
また、加入している保険や将来受け取る退職金(離婚時点での評価額)、将来の年金も分与の対象になります。その中で意外と知られていないのが年金分割の方法です。
最近は金融庁の発表した老後2000万円不足問題なども話題となり、老後資金に関心を持つ方が増えましたので、離婚時の年金分割について妻の側に立って解説していきたいと思います。

年金分割制度は夫婦間の年金の差を縮め、離婚後の女性の生活を安定させるために2007年に始まった制度です。
年金分割というと離婚したら自動的に夫が受け取る予定の年金の半分の額を自分が受け取れるようになる、あるいはすぐに分割された年金を受け取れると勘違いしている方が多いので、年金分割制度の内容や分割方法について見ていきましょう。

年金分割は婚姻期間中の厚生年金(共済組合の組合員である期間を含む)の保険料納付記録を分割できる制度です。
年金の受給年齢になったら分割を受けた年金が加算されて受け取れるようになります。年金は3階建てとも言われますが、1階の国民年金(基礎年金)と3階の企業年金は分割の対象外となります。
夫がずっと自営業だった場合は国民年金のみで厚生年金がないので妻に対して年金の分割はありません。逆にもし妻が会社員で夫が自営業だった場合には、妻の2階部分の厚生年金を夫に分けることになります。

年金の分割方法には「合意分割」と「3号分割」の2種類あり、婚姻期間中の厚生年金(共済組合の組合員である期間を含む)の保険料納付記録を分割してそれぞれ自分の年金とすることができます。
「合意分割」は二人の合意や裁判手続きにより年金分割の割合を定めます。「3号分割」は妻が国民年金第3号被保険者(専業主婦)であった期間がある場合に妻からの請求により夫の保険料の納付記録を分割することができます(平成20年4月1日以降の専業主婦であった期間に限る)。
いずれも請求できる期限は、離婚した日の翌日から数えて2年以内となっていますので注意が必要です。

(※合意分割の対象期間に専業主婦であった期間が含まれる場合は、合意分割を請求した時点で3号分割の請求があったものとみなされます。)

さて、離婚が現実化した、もしくは離婚した後でいざ年金分割を求めようと思っても、夫の年金の情報がわからない場合はどうしたらいいのでしょうか?
このような場合にはお近くの年金事務所に行って自分の年金手帳又は基礎年金番号通知書、戸籍謄本や戸籍抄本など婚姻期間を証明できるもの(事実婚であった場合は婚姻の事実を証明できる住民票など)を提出することによって必要な情報を受け取ることができます。

年金分割は夫の年金を分割して受け取れるということで大きな期待をされる方が多いのですが、計算してみると実際は長く結婚生活を送った主婦でも分割後の年金が月額10万円に満たないケースがほとんどです。
離婚後の生活を安定させるためには年金だけに頼らず、就労の方法を探ることと、離婚前にある程度の資産を自分でも作るように努力することが大切です。
また、年金分割は自分で請求しないともらえない制度です。離婚前後は精神的にもダメージを負い、苦労が絶えない時期ではありますが、離婚後2年以内に忘れず申請しましょう。

著者情報

人物
氏名 加藤桂子(かとうけいこ)
職種 ファイナンシャルプランナー
専門分野 資産形成、家計見直し、住宅取得資金、相続・事業承継対策
保有資格 CFP®1FP技能士、IFA(独立系金融アドバイザー)、生命・損害保険募集人資格