CFP®認定FPに聞く、プロもしている賢い資産形成のはじめ方

「資産形成についてちゃんと考えたいけれど、何から手をつければいいのかわからない」。

そんな人は多いのではないでしょうか。そこで、24の国と地域で「世界が認めるプロフェッショナルFPの証」とされているCFP®認定のファイナンシャルプランナーである、山中伸枝さんにインタビュー。資産形成の考え方や、ゼロからはじめるにはどうしたらいいのか、30代の男性ライターがその具体的な方法を詳しく聞きました。

初心者におすすめの資産形成の方法は?

ーーー山中さん、本日はよろしくお願いします。僕は今年2019年で34歳になるのですが、周りの友人が「学資保険を選ばないと……」「老後の蓄えが心配……」と話しはじめる年代でして。それを聞いて僕も慌てて資産形成について考え出したものの、何をすればいいのかまったくわからない状況です。僕みたいな資産形成ビギナーは、何からはじめるのがいいのでしょうか?

山中:ズバリ、おすすめは「投資信託」です。資産運用のプロが投資家に代わって投資をおこなって、その成果を分配してくれる仕組みで、素人が下手に株式投資に手を出すよりもいい利回りを出してくれるところが多いんですよ。専門家に任せるだけなので、頻繁に売買したり毎日チャートとにらめっこしたりする時間も必要ないですしね。ところで、投資信託の「NISA」や「つみたてNISA」というのはご存知ですか?

ーーー名前は聞いたことがあります。あれはどういうものなのでしょう?

山中:通常、投資で得た運用益や分配金は所得税として20.315%課税されるのですが、それが次の金額、期間は非課税になるという仕組みなんです。

  • つみたてNISA:年間40万円まで(最長20年間)
  • NISA:年間120万円まで(最長5年間)

ーーーえーと、たとえば120万円の投資を5年間続けると600万円。それが仮に10%増えたとしたら、運用益が60万円。通常はこの60万円に所得税がかかって12万円ぐらい引かれてしまうところ、NISAを使えば税金がゼロになって、60万円まるまる手に入るってことですか?

山中:そういうことです。

ーーーその違いは大きいですね! すぐにでもはじめたいです。どうやって買えばいいのか、ぜひ教えてください。

山中:では、初心者によりおすすめなつみたてNISAについて、詳しくご説明しますね。つみたてNISAは所得税の優遇以外にも、販売手数料や口座管理料が無料だったり、投資先は金融庁が長期運用に適していると厳選した162銘柄だけだったりと、安心できる要素が多いので。

初心者でもできる賢い投資信託の選び方

山中:つみたてNISAをはじめるにあたって、まずは口座の開設が必要です。お好きな証券会社や銀行に申し込んでください。取り扱っている銘柄が多い金融機関や、若い方ならネット証券もいいと思います。

ーーー今検索してみたら、楽天証券が出てきました。楽天ポイントが付くみたいなので、ここにします!

山中:いいですね。あとはいい投資信託を選ぶだけです。と言ってもたくさんあってどう選べばいいのかわからないと思うので、選び方についてお教えしますね。

投資信託の格付け評価などを行っているモーニングスター株式会社が運営する、「つみたてNISA総合ガイド」というサイトがあります。これは、お店選びの際によく使われるグルメサイトの投資信託版のようなもので、投資信託のタイプで絞り込み検索をしたり、おすすめ度や手数料の安さで並び替えをしたりできるんです。

ーーーそれは選びやすそうですね。このサイトのつみたてNISA対象ファンド一覧を見てみると、「単一指数(株式型)」や「複合指数(バランス型)」、「ターゲットイヤー」など、聞き慣れない言葉が並んでいますが、この中だとどれがいいのでしょう?


▲参考:「つみたてNISA総合ガイド」つみたてNISA対象ファンド一覧(モーニングスター株式会社)

山中:はじめての方はバランス型ですね。ざっくり説明すると、これは国内・海外の株式や債券を組み合わせて、複数の資産に投資するタイプの投資信託です。いわゆる「国際分散投資」ですね。そうすることで、値動きが安定した資産運用がしやすいという特徴があります。

ーーー分散投資しているから、そのぶんリスクが控えめということですね。このバランス型だけでもたくさんの投資信託が出てくるのですが、ここから絞り込むにはどこを見ればいいのでしょうか?

山中:私が必ず見る指標が3つあります。ではつみたてNISA対象ファンド一覧のバランス型の投資信託のページで見ていきましょう。まずはパフォーマンスの枠にある「シャープレシオ」という項目です。この値は高ければ高いほど効率よく運用できているという証拠。次に投資期間。長期にわたっていい運用実績を出せているもの、具体的には3年以上で「トータルリターン」の%が高いファンドを選びたいですね。


▲参考:「つみたてNISA総合ガイド」つみたてNISA対象ファンド一覧より。画像は一例(モーニングスター株式会社)

最後にコスト欄にある「信託報酬率」。これはファンドに支払う手数料なので安ければ安いほど良く、市場と同じ値動きをするインデックス型であれば0.2%程度が目安です。同じカテゴリーのファンドを比較しながらチェックするといいでしょう。またつみたてNISAであれば、市場の値動きを上回るように選定されたアクティブ型のファンドも低コストでパフォーマンスがいいものがそろっているのでチェックする価値はあります。


▲参考:「つみたてNISA総合ガイド」つみたてNISA対象ファンド一覧より。画像は一例(モーニングスター株式会社)

ーーーたった0.2%の手数料でプロが代わりに投資してくれるってことですよね。それはすごい。

山中:そうですよね。今言った3つの基準で投資信託を選んだら、あとは毎月積み立てるだけ。積み立て金は自動的に口座から引き落とされる仕組みなので、基本的には放置で大丈夫です。でも、ファンドが発行する運用レポートに目を通せば、理解が深まってよりいいと思います。思ったより簡単でしょう?

ーーー口座さえ持っていれば、投資信託を探しはじめて購入するまでに1時間もかからないものなんですね。もっと難しいと思っていました……。ちなみに、このつみたてNISAってファイナンシャルプランナーの人はみんな利用しているものなんですか?

山中:そうですね。まず間違いなく利用していると思います。私自身、株式投資やFXなどをいろいろと試した結果、投資信託の積み立てが最も効率がいいと分かって、もう10年以上運用しています。もちろんNISAという非課税制度ははじまった当初から利用していますよ。つみたてNISAを利用していないファイナンシャルプランナーがいたら、その理由を聞きたいくらいです(笑)。

10年間で資産が倍以上になった投資信託も

山中:資産形成を目的に投資信託を購入するにあたって、積み立てと長期保有の強さをお話ししたいと思います。過去10年にわたっていい運用成績を出している、セゾン投信の長期投資ファンドである「資産形成の達人ファンド」を例に挙げてみましょう。次のグラフは、毎月3万円ずつこのファンドに積み立てたら10年間でこうなりましたよ、という図です。


▲引用:書けばわかる!節約・預金だけではもったいない わたしにピッタリなお金の増やし方(山中伸枝)

ーーーええと、投資元本が360万円で、10年で利益が377万円ということは……え、倍以上になったってことですか!? うわーー、もっと早くからしておけばよかったです……。

山中:そうなんです。10年で倍の利益が出せるのは、積み立てと長期保有の強み。毎月一定額を買い続けることで購入平均単価を下げて、運用で出た利益を再び投資に回し続けます。そうすると複利でさらに増えていくから、グラフのように右肩上がりになりやすいんです。

NISAについてもっと詳しく知りたいときは

ーーー資産運用って、するとしないでは大きく差がつくものなんですね。

山中:知ると知らないとでは大違いですよね。特に会社員だと会社がいろいろとしてくれますし、雇用されている安心感で資産形成については何も考えないまま過ごしてしまいがちです。でも、今あるものを増やそうというマインドがある方や、学ぶことに前向きな方は上手くいきます。まずはライフプランを考えてから、知識を得て細部を考えていくのがおすすめですよ。

ーーーなるほど。ライフプランについてはある程度考えているので、NISAの仕組みについてもう少し詳しく知りたいのですが、どうやって勉強すればいいですか?

山中:みなさんあまりご存知ないのですが、実は金融庁が運営するNISAの公式サイトがわかりやすいんですよ。

参考:「NISA特設ウェブサイト」(金融庁HP)

ーーーわ、ほんとだ。お役所だから古臭いデザインだろうと思ったら、ゆるキャラがいたり動画があったりして見やすいですね。

山中:金融庁のNISAの担当はお若い方が多いので、こういうところにもしっかり力を入れているみたいですよ。

ーーーまずはこのサイトを見て勉強してみます! 山中さん、本日はありがとうございました!

人物
氏名 山中 伸枝
職種 ファイナンシャル・プランナー
専門分野 年金、資産運用(確定拠出年金、NISA)、ライフプラン
保有資格 CFP®
HP https://www.nobueyamanaka.com/