ライフプランニングとは?言葉の意味や簡単な作り方をFPが解説

子どもたちを育てるため教育などにかかる“お金”は本当に足りるのだろうか?

“老後2000万円問題”が話題となったように人生100年時代と言われる昨今、「老後のお金は本当に足りるのだろうか?」と金銭的な不安を感じている方は多いのではないでしょうか。

将来における金銭的な不安を少しでも明るくするための第一歩として、“ライフプランニング”があります。ライフプランニングを行なえば、将来に必要なお金が明確になり、資金を用意する対策を立てることが可能です。

当記事ではライフプランニングについて、言葉の意味や簡単な作り方をファイナンシャルプランナー(FP)である私が解説していきます。

ライフプランニングとは人生の資金計画をすること

ライフプランニングは、直訳すると「人生を計画すること」という意味の言葉です。ファイナンシャルプランナー目線でのライフプランニングとは、人生設計の中でもお金の面に重点を置いて、一生涯にわたった収支について明らかにしていく作業のことと言えます。

弊社のようなFPが実際にライフプランニングを行う場合、お客様から家族構成や収支等の情報をいただき、表やグラフにまとめていきます。そして、家計の現状を把握したうえで、将来的な収支と金融資産の増減を予測していくのです。

実際のサンプルの資料から、ライフプランニングのイメージを確認してみましょう。

【キャッシュフロー表】

キャッシュフロー表

【年間収支予測グラフ】

年間収支予測グラフ

【貯蓄残高推移予測】

貯蓄残高推移予測

上記のキャッシュフロー表を見ると、お子様が大学に進学する前後に金融資産が一時的にマイナスになりますが、その後はリカバリーできています。しかし、定年退職後には収入が激減して収支がマイナスとなり、70歳ころには貯蓄が底をついてしまっています。

このように将来お金に困る事態に陥らないためにも、ライフプランニングを行なったうえで「いつ、どれくらいお金が足りないのか?」「改善するなら今から何をしていくべきなのか?」などの対策を考えるべきなのです。

ライフプランニングは各家庭に必要なもの

10年前と比べるとメディアで取り上げていただく機会が多くなり、ライフプランニングは少しずつ世間に浸透してきたと言えます。“老後2,000万円問題”が取り上げられて不安になり、「将来のお金に関してもっと真剣に考えなくては」と思った方も多いはずです。

将来のお金に対する不安を感じた時にまず行うべきなのが、ライフプランニングであると言えます。ライフプランニングを行なえば、将来的に必要となる“本当の金額”を算出できるためです。

さて、前述の“老後2,000万円問題”の発端は、2019年に金融庁が報告書にまとめたものでした。“2,000万円”という大きな金額だけで一人歩きしていましたが、これは様々な前提のうえで算出された金額です。

具体的には「夫65歳・妻60歳の夫婦で、夫は65歳で退職をし、その後は無職で年金のみで30年間生活した」という場合です。月々に受け取る年金だけで生活すると毎月5.5万円が不足し、その状態が30年間続くとした計算結果が2,000万円という数字になります。

【老後2,000万円問題の計算例】
5.5万円×12か月×30年間=1,980万円→約2,000万円

参照:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

老後2,000万円問題で設定された前提と同様のご家庭は、どのくらいあるでしょうか。「65歳で一度定年退職をしても再就職をして給与を受け取る」「受け取った年金額以内の生活をする」などと考えている世帯は、全く別の試算結果となります。

また、金融庁の試算以上にお金が足りなくなるケースや、そこまで心配しなくても良いという方もあるでしょう。

平均額は考え方の1つとして分かりやすいものですが、家計となると各家庭で収支状況や家族構成が千差万別となります。だからこそライフプランニングは、各家庭それぞれでの作成が必要になるのです。

ライフプランニングの作成は時期が早ければ早いほど効果的

多くの方は就職・結婚・出産・マイホームの購入など人生の分岐点において、ライフプランニングを行ないます。

しかしながら、人生の分岐点に差し掛かる前からライフプランニングを行なっていないと、将来赤字になる家計があったり、様々な思いがけないことが起きたりする可能性があります。そのため、それらのリスクを考慮すると、ライフプランニングの作成は時期が早ければ早いほど効果的と言えるのです。

例えば、ライフプランイングを行なった結果、「65歳以降の老後資金が足りない」と判明したとします。

この事実を30歳の時点で確認できたら、長期的に老後資金を準備するプランを立てられます。“iDeCo”や“NISA”を活用することで節税しながら効率的に老後資金を作ったり、家計を見直すことで出費に対する考え方も変わったりするでしょう。

それでも資金が足りないと試算された場合には、資格などを取得したうえで転職することも可能です。

一方、60歳でライフプランニングを行なった場合は、資金を運用するにも5年しか時間がないうえに転職も厳しいので、老後資金を大きく増やすのは難しいと言えます。

だからこそ、早めにライフプランニングを行なって対策の選択肢を増やし、緩やかな改善で家計を大きく変えられる状況を作ることが重要なのです。

具体的なライフプランの考え方

ライフプランを考える場合には、現状の収支と将来にわたる収支について考える必要があります。将来の収支についてはわからない点も多いと思いますが、現時点での希望や予定などについて考えてみましょう。

【ライフプランを立てるときに考えるべきこと】
考えるべきこと 具体例
世帯主の収入 いつまで働くのか、退職時の退職金、その他の資産はあるのか。
配偶者の収入 いつまで働くのか、退職時の退職金、その他の資産はあるのか。
現在の家計の支出 ※家計簿の結果で算出しましょう。
住宅 賃貸なのか、持ち家なのか。賃貸の場合、今後購入の予定はあるのか。
保険 加入しているのか、加入している場合は今後の保険料、何かあったときにはどの程度の保障が受け取れるのか。
お子様の進路 進学する場合には、自宅から通学するのか、自宅外に住む必要があるのか。学費の準備は?
お子様への資金援助 結婚資金・住宅購入に関して援助予定はしているのか。

ライフプランニング作成時に考えるべきことは、毎月の収支だけでなく保険やお子様の進路など、多岐にわたります。

上記の具体的な確認項目以外にも「定年まで会社に勤めるのか、自分で起業するのか、実家の家業を継ぐのか」「親への援助・介護が必要なのか」「将来的に別の地域に引っ越す予定はあるのか」など、今後の人生をどう送るのかは人それぞれで違いますので、将来の資産状況も変わってきます。

そのため、まずは家計のことだけを考えるのではなく、あくまでご自身の希望について試算して、ライフプランを考えてみましょう。

家計を占うポイントは手元に残るお金

ライフプランニングを行なう際には、今後の家計を占うポイントがあります。ライフプランニングによって1年間の収支を試算した際、黒字だった場合に手元に残る予定の“お金”がわかります。

実際にその金額が手元に残り、貯蓄などに回せているのかどうかをご確認ください(家計が赤字の場合は資産の切り崩し等の金額)。ライフプランニングで試算した結果と実状があまり変わらない場合には、しっかり収支の把握ができていると考えられます。

一方、ライフプランニングの結果が黒字なのに手元にお金が残っていない場合には、家計の管理に問題がある可能性がありますので、再度支出の詳細を確認してみましょう。

具体的には、ソフトやアプリなどを利用して家計簿を最低3か月ほど、できれば年間を通じて記録すると問題点の把握に近づけると思います。

そして、「実際に手元に“残ったお金”がどのくらいあるのか」「どの項目にいくら支出しているのか」など具体的な内容がわかれば、改善するポイントも明確にできるでしょう。

必要な資金を準備する方法を考える

ライフプランニングで収支についてのシミュレーションができたら、次は解決策として“必要なお金の準備方法”について考えてください。

超低金利時代の現状において、定期預金ではほとんど利息もつきません。将来的には貨幣価値が下がっていく可能性もありますので、運用などを利用して、お金自身にも働いてもらいましょう。

また、保険等で必要資金の準備をするのも、場合によっては良い方法だと思います。預貯金や保険、運用性の商品など、金融商品は様々なカテゴリーがあり、お金を残す・殖やす・またいつ使うのかによっても選択肢は様々で、目的によっては向き不向きがあります。

ただし、金融商品をどのように選択するのかを考えることは、大変難しいものです。ご自身で金融商品の選べない場合には、プロのFP資格者に相談することも有効です。

結婚している場合は夫婦2人で考えてみる

ご結婚している場合には、是非ご夫婦お2人で話し合い、お財布の中身を見せ合ったうえでライフプランニングにチャレンジしてください。ご夫婦共働いていると「お財布が別々でお互いの収支が全くわからない」というご家庭も多くなっているためです。

毎月一定額を出し合って生活をしているケースの中には、「1人は経済的に余裕があるのに、1人はお金が足りず借金を繰り返していた」ということも……。お互いの収支を確認せず、変化があっても金額の変更などを行わなかった結果だと考えられます。

弊社にご相談にきていただいたご夫婦で貯蓄がしっかりできているのは、収支を確認しあい1つの財布で生活をされているケースが多数でした。一概には言えませんが、別財布だとしても、少なくともお互いの状況は分かるようにしておきたいものです。

ライフプランニングを考える際には、ご夫婦で確認をしながら家計簿をつけてみましょう。現在の状況を確認するためにも少なくとも3か月程度は続けてください。レシートを読み込むだけ、など簡単に家計簿をつけられるアプリが多数出ています。

最初は大変だと思うかもしれませんが、少し続けると家計簿も習慣化してきますので頑張りましょう。

収支をしっかり確認できる方は「知るぽるとの生活設計診断」

ライフプランニングは、現在の状況を収入や支出という“数字”に置き換え、エクセルなどで時系列に並べることで作成できます。しかし、税金の計算等も必要で難しいため、初めて行う人にはエクセルなどのツールを用いることはあまりお勧めできません。

ご自身で収支をしっかり確認できるのであれば、金融広報中央委員会が提供している「知るぽるとの生活設計診断」を使ってみてはいかがでしょうか。

金融広報中央委員会とは、政府・日本銀行・地方公共団体等と協力して、暮らしに身近な金融に関する活動を行っている組織のことです。

金融広報中央委員会が提供する「知るぽるとの生活設計診断」では、ライフプランニングの流れや考え方、統計データなども掲載されているだけでなく、ご自身で納得いくまで試算してみることが可能です。

もしも収支の確認自体に自信がない場合には、FPなどの専門家と一緒にライフプランニングを試してください。

ライフプランニングで大切なのは一度やってみること

ライフプランニングは、「やってみたい」と思うだけでなく、実際に一度「やってみる」ことが大切になります。ライフプランニングを行なわない限り、ご自身の家計状況を正しく確認できないからです。

一見家計の問題がないご家庭も、実際にライフプランニングを行うと、将来的に赤字になるリスクが見つかるケースもあります。一方、「将来の家計が心配だ」というご家庭でも、ライフプランニングを行なうと問題がなかったケースがあるのも事実です。

まずはライフプランのシミュレーションしてみることで「思っていたより家計に余裕がない」「車や家の維持費はこんなにかかっているのか」「世帯主に何かあったときには家計が破綻してしまう」など、見えていなかった家計の気になる点が具体的に見えてきます。

また、ご夫婦間での意見の相違があれば、両方のライフプランを行なってみることも可能です。ご夫婦で将来について話すことで、1人では気づけないことも見えてくる可能性も……。

ライフプラン作成時には根本的な解決方法を見つけられなくても、将来を考えていくことによってお金に関する考え方などが変わることもあります。とりあえずは一度、確認できる情報だけでも最後までライフプランニングをやってみしょう。

ライフプランニング後の改善案はFPなどの専門家に相談する

「ライフプランの結果はわかったけど、どのように改善したら良いかわからない」など、自分だけでは解決方法がわからないことがあれば、FPなどの専門家に相談してみましょう。

FPはお金に関することを幅広く学んでいるお金の専門家であり、各ご家庭に合った家計の見直しや資産の運用法等について一緒に考えてくれるためです。

ライフプランの立て方が心配な方は、実際に何人かのFPと面談をしてみると良いでしょう。

なお、地域により慣習や生活費などに相違がありますので、ご自身の生活している地域のFPにご相談することをお勧めいたします。FP協会で無料相談会を実施しておりますので、「相談に一歩踏み出せない」という方はご利用ください。

FP協会: https://www.jafp.or.jp/confer/kurashi_fp/taimen/
(※現在、新型コロナウイルスの影響で相談会は中止しております。詳細は協会のHPをご確認ください。)

まとめ

実は冒頭の“2,000万円問題”の提起には、「将来自分たちが必要な額をしっかりと見極め、運用などを交えて資産寿命を延ばしていきましょう」というメッセージが込められているのです。

そして、「一度ライフプランニングを行ったら一生安心」というわけではありません。社会情勢等によって収入の増減等があったり、家族の方向性が変わったり、と様々な可能性があるためです。

社会情勢や家計に変化があればライフプランニングをやり直して確認し、お金の心配のない老後を迎えていただきたいものです。

著者情報

人物 プロフィール画像_FPササキシゲキ様
氏名 佐々木 茂樹(ファイナンシャルサービス株式会社
職種 代表取締役
ファイナンシャルプランナー
専門分野 ライフプランニング
資産運用(iDeCo・NISA など)
不動産売買等住宅購入に関する分野
保険診断等
保有資格 二級ファイナンシャルプランニング技能士(厚生労働省認定)
AFP(日本ファイナンシャルプランナーズ協会認定)
住宅ローンアドバイザー(金融検定協会認定)
証券外務員二種(日本証券業協会)
相続診断士(社団法人相続診断協会認定)
金融商品仲介業者(北海道財務局長(金仲)第52号登録)
トータルライフコンサルタント(生命保険協会認定)
損害保険募集人資格(日本損害保険協会認定)
既存住宅アドバイザー(既存住宅流通推進協議会)