“人生100年時代”を乗り切るライフプランの作成方法とは?

ライフプランとは、人生における生活設計のことです。たとえば、「海外に留学したい」「早く結婚して子どもがほしい」「庭付き一戸建てに住みたい」など、一人ひとりが持っている将来の夢や希望の計画です。

きっと誰もがひそかに「こうなったら良いなあ」という想いを抱えて日々を送っているはず。でも、それらを漠然と考えていただけでは、単なる夢や希望で終わりかねません。
希望するライフプランを実現するにはお金が必要であり、しかもすぐには用意できない金額であることがほとんどだからです。

ライフプランは、今後のために準備すべきお金を明確にして、経済的な側面から夢や希望の計画を実現させていくためのものです。

筆者はファイナンシャル・プランナー(FP)として、20年以上、お客さまのライフプランを叶えるためのお手伝いをしてきました。モットーは、「夢をカタチに」です。

今回のコラムでは、これからの長い人生を乗り切っていくために、どのようにライププランの具体的な作成方法やポイントをご紹介したいと思います。

ライフプランを作成するうえで重要な三大テーマ

冒頭で、ライフプランとは人生における生活設計のことだとお伝えしましたが、もう少し具体的に説明していきます。

ライフプランを作成するうえで重要となるテーマは、生きがい・健康・お金の3つであると言われており、幸せな人生を送りたいと願う人々にとっては欠かせないものばかりです。

1.生きがい
生きがいは、家族や友人、仕事、趣味、ボランティアなど、人によってさまざまです。「生きがいがあるからこそ頑張れる」「辛いことも耐えられる」など、人生を豊かに過ごすための“人生の糧”であるとも言えます。

2.健康
人生にとって“健康”が重要であることは言うまでもありません。もちろん、健康には身体面だけでなく精神面も含まれます。健康を損ねてしまうと、働くことはできませんし、医療費もかかります。これからの長生きリスクに備えるためにも、病気を予防し、健康をいかに維持するかが大切です。

3.お金
生きがいとなるものを支え、健康な生活を送るためには、3つ目の“お金”(=経済的基盤)が不可欠です。当然ながら、お金さえあれば人は幸福になれるわけではありません。しかし、行動経済学の研究によると、一定の年収までは、年収が高いほうが低い人に比べて幸福度が高いことがわかっています。

ライフプランはお金のことだけを考えるものではない

私たちFPが業としてお客さまのライフプランニングをする場合、三大テーマのうち、とくに“お金”の領域に特化してアドバイスを行います。そのため、ライフプランニングというと、お金のことを考えたり、計算したりするイメージが強いようです。

しかし、ライフプランニングでは「お金をできるだけ殖やしたい」という相談者に対して、「どのようなライフプランに基づいて・何のために・いつまで・どれくらい」のお金を殖やしたいのかということを明確にします。

つまり、ライフプランニングの作成は「ライフプランありき」です。そこが、単に資産運用を目的としたファイナンシャル・アドバイザーなどとの違いとも言えます。

お金は生きるうえで必要かつ大切なものですが、お金さえあれば幸せになれるわけではありません。自分自身のライフプランを考える場合は、お金のことだけでなく、“生きがい”や“健康”についても考えてみてください。

具体的なライフプランの作成方法

続いては、具体的なライフプランニングの作成方法についてです。ライフプランニングをするときは、以下のようにSTEP1からSTEP5の手順で考えていきます。

【ライフプランの作成方法】

ライフプランの作成方法_ステップ

ライフプランを立てるといきなり言われても、どこから、どう手をつけたら良いのかを悩んでしまう人が少なくないようです。しかし、ライフイベントから必要資金や貯蓄プランを作成し、実際に貯蓄できる金額を調整してみると、やるべきことが明確になります。

ここからは、ライフプランの作成方法について、それぞれの工程を順に確認しましょう。

STEP①「ライフイベントを考える」

進学、就職・転職、起業、海外留学、資格取得、結婚、出産、マイホーム・マイカー購入、旅行、定年退職など、人生の節目となるようなできごとを“ライフイベント”と言います。

ライフプランを作成するときは、まず現時点で考えられる将来のライフイベントを書き出します。頭の中で漠然と描いているだけでなく、実際に書いて“見える化”することで、夢や希望がより実現可能なものとして具体化するはずです。

年表形式にして、家族それぞれ、あるいは家族全体のライフイベントを書き込んだ“ライフベント表”にすると、今後の人生設計がわかりやすいでしょう。

STEP②「必要資金を計算する」

ライフイベントを考えた後は、ライフイベントごとに、必要と思われる費用の金額を計算します。あらかじめ金額や予算がわかっているもの以外は、以下のデータを参考にしてください。

【ライフイベントにおける必要資金の参考になるデータ】
データ 参考になる情報
日本FP協会/「主なライフイベントにかかる費用の目安」 就職、結婚、出産、教育、住宅、介護、緊急時など、おもなライフイベントの費用がすぐにわかる。
日本FP協会/「くらしとお金のワークブック~FPと考える生活設計~」 ライフイベントの費用だけでなく、それらについて具体的な準備ができるよう基本的な情報が網羅されている。「わが家の場合」をチェックできる各種書き込み表も充実。印刷やダウンロードもできる。
金融広報中央委員会「知るぽると」/「暮らしと金融何でもデータ」 教育や住宅、老後の費用だけでなく、家計の収支や金融資産・負債などに関する詳細なデータが掲載。データがExcel形式で確認できるので、自分で活用することも可。
公益社団法人生命保険文化センター/「一目でわかる生活設計情報」 生活設計をたてるために必要な基本的な考え方や参考情報が分かりやすくまとめられている。おもなライフイベントの費用だけでなく、万が一の場合、病気・ケガ、老後、介護に関するデータも確認できる。

たとえば、子どもの教育資金は、オール国立に進学する場合でも、子ども一人あたり約1,000万円が必要だと言われています。

ただ、この額が一度に必要になるわけではなく、最も費用負担が重くなる大学進学に備えて、高校まで公立の場合は、高校三年生までに300~500万円/1人分(自宅通学の場合)。中学受験を検討している場合は、小学四年生までに600~800万円/1人分(自宅通学の場合)を目安に準備します。

上記の金額は、いずれも、費用の半分程度を、家計(フロー)でやりくりし、残りを貯蓄(ストック)で準備するイメージです。ご家庭によっては、かかる費用の全額をあらかじめ貯蓄(ストック)しておいて、それでまかなう場合や家計(フロー)でまかなう部分が多めの場合もあるでしょう。それぞれの状況に応じて、今後の必要資金を算出してみてください。

STEP③「貯蓄プランを作成する」

ライフイベントごとの必要資金を算出した後は、実際にお金を使う時期を考えて、貯蓄プランを検討します。貯蓄プランを考える際に、必ず明確にするべきなのは「いつまでに(運用期間)」「何のために(貯蓄目的)」「いくら(目標金額)」の3つです。

たとえば、「3年後の結婚資金のため300万円を貯めたい」と具体的な目的や金額を考えてみます。この目的に対して、すでに貯まっているお金があれば、それを目標金額から差し引いて、「目標金額÷運用期間=積立金額(年額)」を計算してみましょう。

この作業をライフイベントごとに行ない、現時点で1年間にどれだけ貯蓄しなければならないのかを試算してみてください。

STEP④「実際に貯蓄できる金額を調整する」

実際に貯蓄プランを立ててみると、いろいろと実現が難しい問題が明らかになってくるはずです。

先ほどの結婚資金の例で考えてみると、目的を実現するためには、金利分を考慮せずに年間100万円(月額約8.3万円)を積み立てなければなりません。この金額は、手取り月収30万円の3割近くを占めるため、家計の状況次第では現実的と言えない場合もあります。

また、可能性はゼロではないものの、株式や投資信託といったハイリスクハイリターンな金融商品を利用して「お金が必要な時期に大きく目減りしてしまった」ということでは、目も当てられません。

貯蓄プランの三要素として貯蓄目的を挙げているのは、運用する金融商品を選ぶうえで「流動性」「安全性」「収益性」のいずれを重視するのかを判断するためでもあります。

将来のためにライフプランを作成する人は、自分自身の貯蓄目的を踏まえたうえで、毎月現実的に貯蓄を続けられる金額を検討しましょう。

STEP⑤「現状を踏まえて実現可能なライフプランを作成する」

STEP3とSTEP4を繰り返し、複数の貯蓄目的の優先順位を考え、実際に貯蓄可能な金額を調整していきます。もちろんその際には、現状の家計を見える化したり、見直ししたりして、ムリ・ムダがないかも確認してみましょう。

このようにして、元の夢や希望を活かしつつ、現状の家計や資産状況などを踏まえた実現可能な自分だけのライププランが完成します。

ライフプランを作成するためのルール

具体的なライフプランの作成方法について説明してきましたが、「自分で作るとなると大変そう……」という人のために、オンラインでライフプランニングができるサイトをご紹介します。

下記のサイトでは、いくつかの質問事項に答えるだけで、中長期のキャッシュフロー表を確認できます。キャッシュフロー表とは、現在の収支状況と今後のライフプランをもとにした将来の収支状況や貯蓄残高の推移を時系列にまとめたものです。

【ライフプランを作成するためのサイト】
サイト サイトでできること
日本FP協会「ライフプラン診断」 9つの質問に選択式で答えるだけで10,000ケース以上のライフスタイルから将来の家計診断ができる。
一般社団法人 全国銀行協会「ライフプラン・シミュレーション」 「きほんシミュレーション」と「くわしくシミュレーション」が選べる。前者は、自動車購入費や海外旅行費など、一般的な数値を元に算出。後者は、老後の過ごし方なども指定できる。

日本FP協会や全国銀行協会のサイトでは、無料で手間をかけずに現状を確認できます。一方、あくまでも簡易的なシミュレーションですので、細かな設定などカスタマイズができません。

より具体的なライフプランを作成したい人は、専用のテンプレートや無料ソフトを利用してライフプランニングを試してみてください。

ワークシートやテンプレートを利用して作成する方法もある

もう少し具体的にライフプランを作成したい人には、日本FP協会やマイクロソフトのワークシートやテンプレートをダウンロードして作成する方法もあります。

【ライフプラン作成で使えるワークシートやテンプレート】
ワークシートやテンプレート ダウンロードすることでできること
日本FP協会「便利ツールで家計をチェック」 家計の収支確認表、家計のバランスシート、ライフイベント表、家計のキャッシュフロー表などがダウンロードできる。
マイクロソフト「ライフマネープランシート(1年間、10年間)」 それぞれの金額を入力すれば、自動的に必要資金が計算できる。

日本FP協会の「便利ツールで家計をチェック」では、家計の収支確認表、家計のバランスシート、ライフイベント表、家計のキャッシュフロー表などがダウンロードできます。 EXCEL版だけでなくPDF版もありますので、プリントアウトして手書きも可能です。

マイクロソフトの「ライフマネープランシート」では、金額を入力するだけで貯蓄や支出を自動計算できます。1年間または10年間のみですが、「今の状況を確認したい」「こまめにプランを見直したい」という方であれば十分に活用できるでしょう。

もっと詳細なライフプランを立てたい人は無料のソフトを活用する

さらに詳細なライフプランを立てたい人には、無料(一部有料)のライフプランソフトを利用する方法があります。ライフプランソフトは、簡易版よりも精度が高く、自分で細かく設定することも可能です。

【ライフプラン作成ができる無料ソフト】
無料ソフト ソフトでできること
ファイナンシャルティーチャー ソフトをインストールする必要もなく、パソコンやスマホのブラウザ上で操作できる。作成したプランをExcelやPDFで保存も可。
FPUNIV 個人からFPビジネス向けに各種プランが用意されている。自分用ならば無料プランでも十分。細かな設定が必要だが、その分、シミュレーションの制度が高い。

ただし、FPに関する基本的な知識がなければ、どのように入力すれば良いのか悩んでしまうかもしれません。いずれにせよ、ライフプランを立てることも大切ですが、得た結果に対して、どのような対策を講じるかを分析することが肝心です。

それぞれのライフプランに対する考え方によって、ツールを活用しながら、ライフプランニングの醍醐味と、自分の人生をプロデュースする喜びを知っていただきたいと思います。

著者情報

人物 プロフィール画像_黒田様
氏名 黒田 尚子(黒田尚子FPオフィス 代表)
職種 ファイナンシャルプランナー
専門分野 ライフプランニング、リタイアメントプランニング
保有資格 CFP® 1級ファイナンシャルプランニング技能士、
CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター
消費生活専門相談資格、第2種情報処理技術者資格